2011年02月


今年もやって来ました宝塚音楽学校文化祭。


去年の予科生コーラスの時点で37名でしたが、パンフレットで34名、出演は33名とさらに加速して減ってました。


80期のときは一人やめても大事だったというのに…


33名だと単純に1組あたり2名弱例年よりも人材が回せないので、退団率によっては人員配置に支障が出そうですな。


第1部


1.日本舞踊


2.予科生コーラス


3.クラシックボーカル


4.ポピュラーボーカル


歌える娘役が何人かいまして、日本舞踊のソロをもらっていた中島星乃はバランスも良く即戦力。歌える子は使いやすいからねぇ。


ケナ・メーガンも高音の抜けは良いのですが、舞台で使うにはちとふくよかで…最初からは使いづらいかな。


全員に1コーラス以上は振っている関係で、爆弾もかなり多数おりました。


第2部 演劇 オーロラの歌声


谷正純によるスウェーデンが舞台の軍隊物。


男役に4人づつ良い役があって、有力所はそこにうまく配役されていました。


娘役は良い役は2役でした。


第1組のヒロインは、日本舞踊でソロ舞踊をもらっていた森川由貴。中卒娘役というのが不安材料ですが…そういえば中卒KIEと言えば(以下略)今の時代、別に宝塚にわざわざ入らんでもというクラスの素材です。


第2組はヒロインの姉役の石丸花梨が総ざらい。繁田磨衣子(沢樹くるみ)以来ですね、文化祭の演劇でオッと思ったのは。あの短編で芝居が出し入れ出来ていて、ベースはありますよね。無理して真ん中で使おうとしないで育てて欲しいなぁ、というよりも外でこそ使える人材なのになぁ。


ヒロインの松原会里は排田祥子の上位互換のようなルックス。この子も中卒娘役。


第3部 ダンスコンサート


ダンスは最近の事情も反映してか、ひどい状態のままなんですが、演出が例年よりややとんがっていたせいでダンスコンサートとしては見られるレベルになってました。


バレエについてはいよいよバ・ド・トゥがなくなっていて…二羽の鳩は原型がかなり不明になってました。はぁ。







  • 原作:三島由紀夫

  • 原作翻案:セルジュ・ラモット

  • 台本:伊藤ちひろ

  • 演出:宮本亜門

  • 出演:森田剛/高岡蒼甫/大東俊介/中越典子

  • 会場:神奈川芸術劇場


初めて入る劇場。3階席はいらなかったな。角度的に舞台鑑賞という点で厳しくなりますね。2階席をもうちょい上の位置にして10列目くらいまでせり出せたら…それって四季の劇場か。


さて、杮落としの金閣寺。美文に隠されているが、三島の幼稚さがふんだんに表れた小説である。三島としても現場にいたら俺が燃していたのにという衝動で一気に書いたような作品であるから、美文の割りに構成としては瓦解している。が、それをおっさんの宮本亜門が演出するとちょうどよくなる。やっぱり引いて見ますからねぇ、おやじは。


森田剛の今の年齢は金閣寺執筆時の三島の年齢。それ故か、森田を溝口の表現ではなく、金閣寺の中に三島を落としてそれを表現するように腐心した。その象徴が稽古場をモチーフにした舞台というのも分かりやすい。


どもっていても不器用に見せて女優を食いまくっていた寺山修司の様なという生き方もあっだろうにと思う横浜の夜だった。







  • 出演:重盛さと美/吉木りさ/杉本有美/内田理央/栞菜/中塚智美/鈴木まりや/cocoro/田井中茉莉亜/高橋明日香/YUI/乃下未帆/時乃真央/床爪さくら/長島実咲

  • 会場:渋谷区文化センター大和田伝承ホール


初めての劇場。また出来てしまった糞ホール。演劇を知らない人が劇場を造ったんだろうな。演劇を知っている人が造ると、自然と「神奈川芸術劇場」とか「吉祥寺シアター」とか「座・高円寺」のように非常に芝居を見やすい劇場となるのだが、アホに造らせると「渋谷区文化センター」とか「赤坂ACTシアター」のように全く受け入れがたい劇場となってしまう。前方フラットで舞台が極端に低くて固定席であってテイストは糞劇場Noの誉れも高いシアターサンモール。この劇場のプレゼンを通した渋谷区の関係者は処刑するべきであろう。


で、この公演は「演劇のようなもの」…絶対に演劇ではないw。ALL FEMALEとなると平田オリザの転校生が思い浮かぶが、あの作品がいかによくできていたかを後のひでー舞台を見るとよく分かる。時間軸の行ったり来たりは藤森一朗の「ジュリエット」と風味は同じなのだが、ストーリーの展開上全く意味が無いのがこの落下ガールの辛いところ。演劇的倒置法を表現したいのならば、少なくとも演者のセリフの口跡は合わせておく必要があったであろう。







  • 演出:G2

  • 出演:丸山隆平/中尾明慶/黒川智花/伊藤裕子/三上市朗/菅原永二/浜田信也/入来茉里/吉本菜穂子/加納幸和/寿ひずる

  • 会場:東京グローブ座


今年初めての東京グローブ座。G2だけあって、手堅いキャスティング。ちょっとホリプロの人多すぎかなとも思いましたが、中尾と伊藤は舞台経験も豊富で安心。三上、菅原の準レギュラーも押さえてあって、作品の質を保持する前提は揃っていました。


自分の街から出たことの無いギルバート・グレイプがそのままタイトルロール。「自分の街から出たこと無い」となると「スタンド・バイ・ミー」で強烈に印象的なセリフ。このグローブ座でのスタンド・バイ・ミーを見たのはジャニーズにこの劇場が経営が移ってすぐだったような。ギルバートのグダグダ感は、まさにそのスタンド・バイ・ミーのキャラクターたちによく似ている。兄弟の発達障害は…やっぱりグローブ座で公演があった「レインマン」。そういえばレインマンも父親は形のあるものとしては舞台に登場しない…


他のキャラクターたちは全てギルバートの視点で描かれており、ほぼ完全に一人称の舞台。他のキャラクターたちはギルバートのいない所では存在し得ない。故に、全てギルバート視線に固定し、キャストの人間関係のデティールをかなり不細工にしてある。この不安定さはいかにも客席をいらいらさせる。ほぼG2の術中にはまっていた(w。このイライラ感を与えたかったのはG2のこの作品に対するメッセージの一つであるのは言うまでもない。


アンサンブルもかなり細密に工夫されていて、G2の製作過程における真摯な姿勢が伺えた。こういう時には三上、加納は。


伊藤がエロ過ぎる設定は困った者である。切れない吉本(いや、他の舞台レベルで考えれば十分に切れていたか)というのもかなり久しぶり。寿のビジュアルが別にありながら、そこにキャラクターを乗せていくという難役への的確な芝居は素晴らしい。入来はG2の意図がそのまま反映されており、舞台全体へのイライラ感を増幅させる火付け役を忠実に演じていました。


黒川がヒロイン役であったが、中村勘三郎の芝居にちょうど良いような体型で、入来が出演している舞台でヒロインはきつかった。休憩中に見た入来とはキャスト逆の方が少なくともビジュアル的には説得力があったなと感じた。キャラメルボックスの時には感じなかったので、この舞台のキャストのスタイルの良さが問題でもあったのだろう。ふむ。




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